エジプトのモバイル市場は競争が激しく、4社がプリペイド利用者をめぐり競い合っています。この競争のおかげで、旅行中にSIMカードを購入する人にとっても料金面で有利です。ただし登録手続きが義務化されており、到着からSIMを使い始めるまでの所要時間(20分〜1時間)に影響します。
4つの通信事業者
Vodafone Egyptは最大手で、海外からの旅行者にも認知度があります。Orange Egyptはフランス企業グループのエジプト法人で、データ通信に強みがあります。現e&は旧Etisalat Misrで、旧社名の看板やロゴも店舗でまだ見かけます。WEは国営の固定電話会社Telecom Egyptの携帯部門です。
4社いずれもプリペイドSIMとデータパックを販売しており、観光地(カイロ、アレクサンドリア、ルクソール、アスワン、フルガダ、シャルム・エル・シェイク)ならどの通信会社のSIMも問題なく使えます。価格帯もほぼ横並びです。
違いが出るのは郊外です。西方オアシス、長距離の砂漠ルート、紅海沿岸の奥地などを巡る場合はサービスエリアに差が出ます。現地ホテルや宿泊先で、どの会社の電波が使われているか尋ねるのがおすすめです。
パスポート提示の登録義務
エジプトでは、プリペイドSIMカード購入時に身分証明書による登録が必須です。旅行者の場合はパスポートがその書類となり、店頭で詳細情報の記載と登録手続きが行われます。
実務上注意することが2点あります。1つ目は、パスポート本体を必ず持参すること。スマホで撮影した写真では断られる場合があります。2つ目は、書類対応に時間がかかるため、到着初日のスケジュールに予め買い出しの時間を見込んでおきましょう。店舗ごとの手続き時間の差はあまりありません。
料金について
SIMカード本体・データパックともにヨーロッパ基準から見て安価です。旅行者向けに「日数単位(days)」で利用できるパックがあり、1枚購入後、希望日数か容量のパックを追加します。プランには利用期限が設定されています。
料金の相場を明記しづらい理由は2点あります。1つは4社とも内容や価格を頻繁に変えるため、昨年の数字が今年も当てはまりません。もう1点は、近年エジプトポンドの為替レートが大きく変動しており、現地では値段が変わらないのに外貨換算だと大きな差になることがあるためです。
目安としては、エジプトで1週間たっぷり使えるデータプランが、ヨーロッパでの1日分のローミングオプションより安い水準です。
購入場所
空港はアクセスが非常に良く、到着後すぐに購入できる一方で、フライト集中時には手続き待ち時間が長くなることがあります。カイロ、フルガダ、シャルム・エル・シェイク空港の到着エリアには各通信会社のカウンターがあります。ただし市内に比べて若干高めで、深夜時間帯は閉まっている場合もあります。
市内のキャリアショップは手続きが早めで価格も抑えめ、スタッフも毎日多数の登録業務を行っています。町の小規模な電話ショップでも購入・登録可能で、キャリア直営店より遅い時間まで営業している場合が多いです。
いずれの場合も、登録手続きを省略できる店舗はありませんので、選ぶ基準は待ち時間や営業時間です。
比較して決めたいポイント
ローカルSIMならエジプト国内の電話番号が付きますので、ホテル、レストラン、運転手への電話や着信が可能です。現地のやりとりで電話を重視する場合に役立ちます。
トラベルeSIMなら面倒な手続きなく到着時からすぐ通信ができます。カウンターでのやり取りやパスポートも不要で、ラインを切り替えたその瞬間から使えます。データ専用なので通話はアプリ経由となります。
主な用途が地図やメッセージ、オンライン予約等であれば、エジプト用eSIMで到着後すぐ使えて時間も節約できます。長期滞在や現地番号が必須の旅ではSIMカードもおすすめです。最初のチャージ前にポンド事情も確認しておきましょう。
エジプトSIMの注意事項
2つの制約を知っておくと安心です。
エジプトのSIMカードは購入者本人(パスポート所有者)に登録されますので、他人への譲渡はできません。旅の終わりに他人に渡しても登録情報は変わりません。紛失時の再発行も、再度パスポートを持参して店舗へ行く必要があります。
またエジプト国内専用で、出国後は利用できません。エジプト自体が広い国なので通常問題になりませんが、ヨルダンや他国を含む旅程の場合は、別途各国用の通信手段を用意してください。
トラブル防止のワンポイント
どちらの方法でも、ご自身の日本の電話番号回線は電源を切らずに待ち受け状態にして、データローミング設定だけオフにしておくと安心です。
銀行コードやセキュリティ通知は自分の番号あてにSMSで届くことが多く、機内モードや完全オフだと受信できません。データ通信はエジプトSIMやeSIMを使い、SMSは自分の番号で受けることで両立できます(設定には追加費用はかかりません)。ATMでカードトラブルになる事態を防ぐ習慣としておすすめです。
もう1点見落としがちな注意点です。データパックの有効期間は購入時からカウントが始まることが多く、30日パックを10日間の旅行前に空港で買うと残り20日分が無駄になります。到着直後に使う場合は空港で、そうでなければ実際に必要な日に市内で購入するのがおすすめです。