南アフリカは停電に独自の名前、発表されたスケジュール、さらに夜のニュースで段階(ステージ)まで伝えられる数少ない国の一つでした。旅行者にとってはロードシェディングという言葉が変換アダプターやマラリア予防薬と並んで持ち物リストに入り、何年にもわたり旅行計画に大きな影響を及ぼしてきました。
ただしこの時代は終わりました。現在は、かつて何が起こり、今どう変わったかを知っておくほうが、「いまもある」といった警告より有用です。
- 最後の全国ロードシェディング実施日
- 16 May 2025
- 1段階ごとの削減量
- 1000 MW
- 1回の停電時間
- 2〜4時間
ロードシェディングとは
ロードシェディングは全国規模で行われる計画的な電力供給制限でした。Eskomの発電量が需要に追いつかないと、国の一部ずつを輪番で送電停止し、電力系統全体の崩壊を防ぎました。開始は2007年末で、その後18年間にわたり5回の大きな時期がありました。
特徴が2つあります。1つ目はスケジュール制で、自分の地域が何時に停電するか調べることができました。2つ目は全国一律で、ケープタウンとプレトリアの停電といったように、同じ決定によって全体が動いていました。

段階(ステージ)
「段階(ステージ)」というシステムのおかげで、状況がニュースでも分かりやすくなっていました。各段階は1000メガワットの需要削減を意味し、段階が上がるほど1日のうち停電時間と範囲が広がります。
ステージ1は影響が比較的軽く、多くの人はほとんど気付かない程度です。2019年12月に初めて実施されたステージ6は、1日に6000メガワットが系統から外れ、国のほぼ全域が何時間も停電を経験しました。最悪期にはステージ8も現実味を持って語られていました。
発表されていたスケジュールは実態より30分短く、2〜4時間の停電後、再び送電を開始するまでの時間は予定には含まれませんでした。
エネルギー危機と終息までの経緯
2007
初のロードシェディング実施
多くの老朽化した石炭火力発電所を抱え、需要が供給を上回ったため、全国的に約20年続く計画停電が始まりました。
2019
ステージ6の登場
12月に初めてステージ6が実施され、翌年3月には原子力発電所のポンプ故障も記録されました。
2022
最も厳しかった年
1年間で200日を超える停電を経験し、当時としては最多記録となりました。
2024
1か月間途切れず電力供給
2024年4月、メンテナンスや運用改善の効果で2022年1月以来初めて1か月間計画停電が実施されませんでした。
2025
最後の実施
1月に一時的に再開した後、5月16日をもって終了。それ以降はEskomが発電性能向上を報告し続けています。
現在の状況
最後の全国的なロードシェディング実施は2025年5月16日で、それ以降は行われていません。2026年9月にはEskomがエネルギー利用可能率67.96%を報告、ディーゼル燃料の支出も前年より大きく減少し、負荷低減の対象も3.4%まで落ち着きました。
この約68%の可用性は、発電設備の3分の1は常に使えない状態、主に長年放置された保守点検が現在ようやく進められていることを示します。正直な現状は、2022年や2023年に比べ遥かに良くなった一方で、十分な余裕があるわけではありません。
旅行をされる方にとって、ロードシェディングは今や特別に備える必要のない存在となりました。ただし、念のため知識は持っておくと安心です。
今も起こりうる停電の原因
現地では今も時おり停電が発生しますが、内容は異なります。
最大の原因はケーブルの盗難です。変電所や架線から銅線が盗まれ、復旧まで数時間〜数日かかる場合もあります。また市町村ネットワークの過負荷や無断接続によって設計以上の需要が発生した場合、全国的なロードシェディングとは異なり一部のエリアのみで負荷低減が実施されることもあります。
その他、悪天候や老朽化した設備、通常の故障による停電もありますが、いずれも全国一律ではなく、世界中どこでも起こりうるレベルの事象です。
旅行時の備え
心配せず旅行するための備え
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最大のポイントは「必要なときではなく、電力があるうちに充電する」習慣です。夕方に充電が20%しかないよりも、午後の段階で80%まで充電しておくほうが安心です。
リモートワーク等で滞在される場合、Wi-Fiルーターや一部照明がバックアップ回路(非常用発電やインバーター)で動作するか、宿泊先に確認することをおすすめします。どのコンセントが停電時も生きているか把握しておけば、困ることが減ります。
eSIMとスマートフォンへの影響
停電はeSIMにダメージを与えず、eSIMの動作も止まりません。プラン情報は端末内チップと事業者サーバーに保存されており、いずれもコンセントを必要としません。
影響が出る可能性があるのは通信ネットワークです。携帯基地局はバッテリーや発電機で稼働しますが、深刻な時期にはバッテリーの盗難によって停電と同時に通信も止まったことがあります。現在も、局所的な停電により一定時間基地局が停止する場合がありますので、通話などリアルタイム通信に頼る場合にはご注意ください。
旅行中のモバイル通信管理も同じで、事前にeSIMプランをインストール・動作確認しておき、充電可能な時間帯に十分充電し、重要なことは一点の通信タイミングだけに頼らないようご注意ください。南アフリカのeSIM にて導入ガイドを、各通信エリアのカバー状況 にて場所ごとの電波状態もご案内しています。




